Difyの他サービス連携を実践 ─ API・Webhook・MCPで既存ツールと「つなぐ」
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Difyの他サービス連携を実践 ─ API・Webhook・MCPで既存ツールと「つなぐ」

By Data Insight

30秒でわかるこの記事のポイント

  • HTTPリクエストノードで外部APIへの読み書きが可能 → AIに「実行力」が生まれる
  • Webhookトリガーで外部イベント(メール受信・CRM更新等)に応じた自動処理を開始できる
  • MCP(Model Context Protocol)対応により、標準規格による将来性のある連携が実現

前回までの記事で、Difyのワークフロー機能Chatflowについて解説しました。これらの機能だけでも強力ですが、AIの真価が発揮されるのは外部ツールと連携したときです。

Dify概要記事で触れた「ChatGPTの3つの壁」を思い出してください。その中でも**「書き込みができる」ということは、AIが単なる「話し相手」から「仕事をしてくれるパートナー」**へと変わることを意味します。

この記事では、Difyを使って外部サービス(Slack・Gmail・CRM等)と連携し、業務を自動化する具体的な方法を解説します。


§ 1. なぜ「連携」がAIの価値を決めるのか

§ 「書き込みができるAI」と「できないAI」の違い

多くの企業がChatGPTやClaudeを業務に活用しようとしていますが、ある段階で壁にぶつかります。それは**「結局、最後は人間がコピペする必要がある」**という問題です。

例えば、こんな場面はありませんか?

  • 「AIが作った日報を、自分でSlackにコピペしている」
  • 「AIが分析した顧客データを、手動でCRMに入力している」
  • 「AIが生成したメール文面を、自分でGmailにコピペして送信している」

これらはすべて、AIに**「書き込み能力」**がないために発生する問題です。

§ 連携 = AIが「頭脳」になり、外部ツールが「手足」になる

Difyの連携機能を使うと、この構図が変わります。

  • Dify(AI): 考える・判断する・文章を生成する
  • 外部ツール: 実際に書き込む・通知する・データを更新する

つまり、AIが「頭脳」として意思決定を行い、外部ツールが「手足」として実行する。この組み合わせにより、人間は最終確認だけに集中できるようになります。

Data Insightでは、AIを「人間の創造性を支援するパートナー」と位置づけています。連携機能は、このパートナーシップを実現するための重要な要素です。


§ 2. HTTPリクエストノード ─ REST APIの呼び出し方

§ HTTPリクエストノードとは

DifyのワークフローやChatflowで使用できる**「HTTPリクエスト」ノード**は、外部のREST APIを呼び出すための機能です。これにより、ほぼすべてのWebサービスとの連携が可能になります。

§ GET・POST・PUT・DELETE の使い分け

HTTPメソッドは「何をしたいか」によって使い分けます。

メソッド 用途
GET データを取得する CRMから顧客情報を読み込む
POST 新しいデータを作成する Slackにメッセージを投稿する
PUT 既存データを更新する CRMの顧客ステータスを変更する
DELETE データを削除する 不要なレコードを削除する

§ 認証の設定

多くのAPIは認証が必要です。Difyでは以下の認証方式に対応しています。

  • API Key: ヘッダーまたはクエリパラメータにキーを含める
  • Bearer Token: OAuth2.0で取得したトークンを使用
  • Basic認証: ユーザー名とパスワードをBase64エンコード
  • カスタムヘッダー: 独自の認証ヘッダーを設定

§ ボディ形式の選択

POSTやPUTでデータを送信する際、ボディの形式を選択できます。

  • JSON: 最も一般的。構造化されたデータを送信
  • Form(x-www-form-urlencoded): フォーム送信形式
  • Multipart: ファイルアップロードを含む場合

§ 活用例:CRMから顧客情報を取得・書き込む

[トリガー] → [HTTPリクエスト: GET(顧客情報取得)] → [LLM(分析・判断)] → [HTTPリクエスト: PUT(ステータス更新)]

この流れでは、CRMから顧客情報を取得し、AIが内容を分析して、適切なステータスをCRMに書き戻すという一連の処理を自動化できます。


§ 3. Webhookトリガー ─ イベント駆動の自動化

§ Webhookの仕組み

これまでのワークフローは「手動で実行」または「定期実行」が基本でした。しかし、Webhookを使うと**「外部イベントが発生したら自動で実行」**という仕組みが作れます。

[外部サービスでイベント発生] → [Webhook URL呼び出し] → [Difyワークフロー起動]

§ Webhook URLの生成と設定

Difyでワークフローを「Webhook」タイプで作成すると、専用のWebhook URLが発行されます。このURLを外部サービスに登録することで、イベント発生時に自動でワークフローが起動します。

§ Query・Header・Bodyから変数を抽出

Webhookで受け取ったリクエストからデータを抽出し、ワークフロー内で使用できます。

  • Query Parameters: URLの?key=value形式のパラメータ
  • Headers: リクエストヘッダーに含まれる情報
  • Body: リクエスト本文(JSON形式が一般的)

§ 活用例:メール受信時に自動で要約を実行

多くのメールサービスには、メール受信時にWebhookを呼び出す機能があります。これを活用すると:

[Gmail: 新着メール受信] → [Webhook] → [LLM: メール内容を要約] → [Slack: 要約を通知]

という自動化フローを構築できます。重要なメールを見逃すことなく、要点だけを素早く把握できるようになります。


§ 4. ツールの活用 ─ 組み込みツールとカスタムツール

§ 組み込みツール

Difyには、あらかじめ用意された「組み込みツール」があります。

  • Web検索: Google検索やDuckDuckGoで最新情報を取得
  • 画像生成: DALL-Eなどで画像を生成
  • 天気予報: 指定地域の天気情報を取得
  • 計算機: 数式の計算を実行

これらは設定不要で、すぐにワークフローに組み込めます。

§ カスタムツール ─ 社内APIを「ツール」として定義

自社の業務システムにAPIがある場合、OpenAPI(Swagger)仕様をインポートすることで、Dify内で「ツール」として使えるようになります。

例えば、以下のようなことが可能です。

  • 社内の在庫管理APIを「在庫確認ツール」として登録
  • 顧客管理APIを「顧客情報取得ツール」として登録
  • 予約システムAPIを「予約状況確認ツール」として登録

§ エージェントとの組み合わせ

カスタムツールの真価は、**エージェント(自律型AI)**と組み合わせたときに発揮されます。

通常のワークフローでは、ツールの実行順序を人間が設計します。しかしエージェントモードでは、AIが自律的にどのツールを使うかを判断します。

「この顧客の最新の注文状況を確認して、在庫があれば発送手配してください」

このような自然言語の指示に対し、エージェントは:

  1. まず「顧客情報取得ツール」で顧客IDを特定
  2. 次に「注文履歴確認ツール」で最新注文を確認
  3. 「在庫確認ツール」で在庫状況をチェック
  4. 在庫があれば「発送手配ツール」を実行

という一連の処理を自律的に行います。これがReActパターン(Reasoning + Acting)と呼ばれる手法で、Difyはこれを標準でサポートしています。


§ 5. MCP(Model Context Protocol)の活用

§ MCPとは何か

**MCP(Model Context Protocol)**は、Anthropic社が提唱するAIとツール連携の標準規格です。これまでAIと外部ツールを連携させるには、ツールごとに個別の実装が必要でした。MCPはこの問題を解決する「共通言語」として設計されています。

§ Difyの双方向対応

Difyは、MCPに双方向で対応しています。

§ MCP Client(Difyが外部MCPサーバーを呼び出す)

他のMCPサーバーが提供するツールを、Difyアプリ内で利用できます。例えば:

  • GitHub MCP Serverと連携して、リポジトリ操作を自動化
  • ファイルシステムMCP Serverと連携して、ローカルファイルを操作

§ MCP Server(Difyがワークフローを公開する)

逆に、Dify自身が構築したワークフローをMCPサーバーとして公開することも可能です。

これにより、Claude DesktopやCursor、他のMCP対応アプリケーションから、Difyのワークフローを呼び出せるようになります。

§ なぜ重要か:「標準規格」の利点

MCPの最大の利点は**「標準規格である」**ということです。

  • 今日作ったDify連携が、明日別のAIツールでもそのまま動く
  • ベンダーロックインを回避できる
  • エコシステムが成長するほど、使えるツールが増える

Data Insightでは、特定の技術に依存しない柔軟なシステム設計を重視しています。MCPはその理念に合致する規格です。


§ 6. 事例 ─ 連携による業務自動化の実例

§ 問い合わせ対応自動化フロー

企業の問い合わせ対応を例に、連携機能を組み合わせたフローを見てみましょう。

Gmail(新着メール受信)
    ↓ [Webhook]
LLM(内容分析・優先度判定)
    ↓
Knowledge(FAQナレッジベース検索)
    ↓
LLM(回答生成)
    ↓
HTTP Request(Slack通知)
    ↓
HTTP Request(Gmail自動返信)

このフローでは:

  1. 顧客からのメールを受信するとWebhookで自動起動
  2. AIがメール内容を分析し、緊急度を判定
  3. RAG機能でFAQを検索
  4. AIが適切な回答を生成
  5. 担当者にSlackで通知(緊急の場合は即座に対応できる)
  6. 定型的な質問には自動返信

§ 確信度に応じた分岐

問い合わせ対応において重要なのは、すべてを自動化しないことです。AIの回答に確信が持てない場合は、人間にエスカレーションするべきです。

  • 高確信度(80%以上): 自動返信を実行
  • 中確信度(50-80%): 人間に確認を求めてから返信
  • 低確信度(50%未満): 人間にエスカレーション

この分岐をDifyのワークフローで実装することで、**「自動化すべきもの」と「人間が判断すべきもの」**を適切に切り分けられます。


§ 7. iPaaS(Zapier・Make)との組み合わせ

§ いつ使うか

すべての連携をDifyだけで行う必要はありません。**iPaaS(Integration Platform as a Service)**と呼ばれるツール(Zapier、Make等)と組み合わせることで、より柔軟な自動化が可能です。

iPaaSが向いているケース:

  • プログラミング知識なしで連携を設定したい
  • Difyが直接対応していないサービスと連携したい
  • 複雑な条件分岐やエラーハンドリングが必要

§ Difyとの分担

効率的な分担の考え方:

担当 役割
Dify AI思考の部分 文章分析・要約・判断・生成
iPaaS 配管の部分 サービス間のデータ受け渡し・条件分岐

例えば、「Slackで特定のキーワードが投稿されたら、Difyで分析して結果をGoogle Sheetsに記録する」というフローでは:

  • Zapier/Make: Slack監視 → Dify呼び出し → Google Sheets書き込み
  • Dify: 投稿内容の分析・カテゴリ判定・要約生成

このように役割を分けることで、それぞれのツールの強みを活かせます。


§ よくある質問

§ API連携とWebhookの違いは?

**API連携(HTTPリクエスト)**は「Difyから外部サービスに働きかける」仕組みです。一方、Webhookは「外部サービスからDifyに働きかける」仕組みです。データを取得したいときはAPI連携、イベントに反応したいときはWebhookを使います。

§ MCPとOpenAPIの違いは?

**OpenAPI(Swagger)**はREST APIの仕様を記述するための標準規格です。MCPはAIがツールを使うための標準規格です。目的が異なるため、両方を組み合わせて使うことも多いです。DifyではOpenAPIでカスタムツールを定義し、MCPで外部AIツールと連携できます。

§ セキュリティは大丈夫?

APIキーやトークンはDify内で暗号化されて保存されます。また、オンプレミスやプライベートクラウドにDifyをインストールすれば、機密情報が外部に出ることはありません。企業の情報セキュリティポリシーに合わせた運用が可能です。

§ 連携できないサービスはある?

REST APIを提供しているサービスであれば、基本的に連携可能です。ただし、一部のサービスはIPアドレス制限やOAuth2.0の複雑な認証フローがあり、追加の設定が必要な場合があります。

§ iPaaSとDify、どちらを使うべき?

AI処理(文章分析・生成・判断)が必要な場合はDify、単純なデータ連携や条件分岐だけならiPaaSが向いています。多くの場合、両者を組み合わせるのが最も効率的です。


§ まとめ

この記事では、Difyの外部サービス連携機能について解説しました。

  1. HTTPリクエストノードで外部APIへの読み書きが可能 → AIに「実行力」が生まれる
  2. Webhookで外部イベントに応じた自動処理を開始できる → 人間の介入なしで業務が進む
  3. MCP対応で標準規格による将来性のある連携が実現 → ベンダーロックインを回避

連携機能を使うことで、AIは「話し相手」から**「業務を実行してくれるパートナー」**へと進化します。すべてを自動化する必要はありませんが、定型的な作業から人間を解放し、より創造的な仕事に集中できる環境を作ることが重要です。

Data Insightでは、AIを「人間の創造性を支援するパートナー」と位置づけています。連携機能の活用は、このパートナーシップを深めるための重要なステップです。

連携は理解した。では、本番で動くAIの「状態や精度」はどう把握する?

次の記事では、Difyのモニタリング連携 ─ LangSmith・Langfuseによる可視化 ─ を解説します。

→ 次へ:応用編 ─ モニタリング連携の実践ガイド


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